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いま話している“UX”の定義はどれ?現場でよく話されるUX定義を整理してみた

はじめに

よく話題に上がると思いますが、"UXデザイン"って定義がなくて、ややこしいですよね。

私もお客さんや社内で”UXデザイン”について話す時もたまに「今話しているUXデザインって何のことだっけ?」となるので整理しておこうと思います。

最初に断っておくと、あれがUXでこれがUXだ!という話をしたいのではなく、「UXデザインはこれです」と書かれているものを整理する趣旨ということでお付き合いください。

目次
・整理のきっかけ
・ UX定義1:ISO9241-210規格による定義
・UX定義2:Jasse James Garrett のElements of User Experienceの定義
・UX定義3:UXハニカム
・UX定義4:UX白書の期間で考える定義
・UX定義5:ニールセン/ノーマン社によるUXの定義
・UX定義(じゃないけど、言われがちなやつ):UX/UIを同じに扱っている場合
・UX定義(じゃないけど、言われがちなやつ):アニメーションやトランジションが気持ちいい場合
・UX定義(じゃないけど、言われがちなやつ):デザインプロセスの話
・UX定義(じゃないけど、言われがちなやつ):サービスデザインの話

整理のきっかけ

さて、私たちはいろんなお客さんから”UXデザイン”の相談を受けております。

そこで悩ましいのはUXの定義が世間的に定まっていないことです。

なので、お客さんによって”UX”と言っているのは何のことを指しているのかを想像しながら、どんな課題をお持ちなのかを突き止めないといけません。

いくつか定義があるから整理しないとな〜とか思っていたの、先人たちのスライド引用させていただきつつ、少し言葉を補足していこうと思います。

UX定義1:ISO9241-210規格による定義

ご存知、ISO規格によるUXの定義です。
ISOとは International Organization for Standardization(国際標準化機構)のことなので、国際的に定めた定義です

UXとは、製品、システム又はサービスの使用及び/又は使用を想定したことにより生じる個人の知覚と反応のことと定義されております。

このあたりは、安藤昌也先生の資料に詳しくまとめられているので、ご参考ください。

ちなみに、この定義は2010年に定められたので、時期的には少し遅いタイミングでした。

2010年には“UXとはこれだ”という定義が散見された後なので、もう少し早く発表されていると今のようなUXってなんだ?議論がもう少しわかりやすくなっていたかもしれません。

UX定義2:Jasse James Garrett のElements of User Experienceの定義

ジェームス・ギャレット氏の5段階モデルによるUXの要素です。

ユーザー体験の定義というよりも、ユーザー体験を満足させるためにどういうレイヤーの要素があるのか?というどちらかといえば、作り手に向けて説明した資料でしょう。

また、内容をよく読むとアプリケーションよりもWEBサービスを前提とした分類に見受けられます。なので、アプリ開発の人とWEBサービスの人はこちらの資料をもとにUXを話す場合でも目線合わせが必要です。

いずれにせよ、この図は未完成ということなのですが、ある程度固まった定義でUXをデザインするための要素としてよく整理された図と捉えればよいかと思います。

UX定義3:UXハニカム

IA論の先駆者であるピーター・モービルが提唱したユーザー体験を構成する7つの要素を表したハニカム構造の図です。

UXハニカムを構成する6つの要素

1. 役に立つ
2. 使いやすい
3. 探しやすい・見つけやすい
4. 信頼できる
5. アクセスしやすい
6. 好ましい

UXハニカムの考え方は上記6つの要素すべてが満たされると、ユーザーにとって価値ある体験になるという考え方

少し横道にそれますが、ここでよくある誤解は1や2の”役に立つ”、”使いやすい”という言葉から、ユーザビリティ=UXなどと混同されがちです。

そもそもユーザビリティとは使いやすさではなく、サービスを使う人が満足に使える(た)か?ということです。

“ユーザビリティ”もISO9241の定義があるのですが、本筋とずれるので今回は割愛します。

UX定義4:UX白書の期間で考える定義


UX白書には、そもそもUXを一つの定義にできないと書かれております。ただし、UXの概念とUXを捉える様々な観点を明確にしているので、その中でも特に有名な”ユーザーエクスペリエンスの期間”で説明した図を紹介します。

ユーザーがサービスやアプリを利用する前、利用中などの時間軸にわけて体験を整理する図です。

カスタマージャーニーマップと似てしまうこともありますが、抽象度が高いのでより概念レベルでサービスを検討したいときに使うとうまく整理できるでしょう。

ちなみにこちらの概念も安藤先生の資料がわかりやすいです。

UX定義5:ニールセン/ノーマン社によるUXの定義

アップルでも活躍していたD.A.ノーマン博士がヤコブ・ニールセンと共同で設立したコンサルティング会社、Nielsen Norman Groupが発表したUXの定義

タイトルに Our Definition とあるように、あくまでもこの会社のUX定義というところは着目しておいてください。

User Experience - Our Definition
"User experience" encompasses all aspects of the end-user's interaction with the company, its services, and its products. The first requirement for an exemplary user experience is to meet the exact needs of the customer, without fuss or bother. Next comes simplicity and elegance that produce products that are a joy to own, a joy to use. True user experience goes far beyond giving customers what they say they want, or providing checklist features. In order to achieve high-quality user experience in a company's offerings there must be a seamless merging of the services of multiple disciplines, including engineering, marketing, graphical and industrial design, and interface design.
(日本語訳)
ユーザー体験について - 我々の定義-
 ユーザー体験とは企業やサービスや指針とエンドユーザーのインタラクションの全ての側面のこと。典型的なUXにまず必要な事は、顧客のニーズについて誇張なしに的確に適合させることである。次に、所有や保有をしたくなるような製品を作るための単純化や簡潔さが必要である。真のUXは、単に顧客が欲しいと言うものを与えたり、チェックリストで検証できるような特徴を提供することではなく、それ以上のことである。企業が高品質のUXを達成するためには、エンジニアリングやマーケティング、グラフィックデザイン、工業デザイン、インターフェースデザインなどの多様な取り組みを連続的に結合しておくことが必要である。

UX定義(じゃないけど、言われがちなやつ):UX/UIを同じに扱っている場合


例えば、最近の求人を見ると「UI/UXデザナー募集」。という言葉が並んでいます。
つまり、UXはUIと一緒のものとして話される場合があります。

特にUXの話題に敏感な人はここに対して「おいおい〜」となりそうなところです。

言葉では”UX”と言われていても、UIのことを指している人もいます。UXとUIを分けて話してほしいという想いは理解しつつ、今回はUXとUIを一緒にして話す人がいる事を知っておけばよいかと思います。

 UX定義(じゃないけど、言われがちなやつ):アニメーションやトランジションが気持ちいい場合

触っていて気持ち良いアプリやサイトをUXとして話される場合があります。
これはUXでもあるんですが、UI の操作性が優れているという話です。

ただし、スマホアプリは別 UI = UX になりうる

ただ、ゲームや日常使うスマホアプリなどはUIとUXの相関性がかなり高いといえます。

例えば、ゲームの操作性が悪いと UX が悪い→もうゲームを触らないというようになりやすい側面もあります。

UX白書の期間の例でいえば、利用中の体験と利用後、そして累積された体験はUIをベースに作られるからといえるでしょう。

なので、アプリの場合はUIがUXと同義になりうる場合もあるという整理はしておいたほうがよいと思います。

UX定義(じゃないけど、言われがちなやつ):デザインプロセスの話

UXDを、Human Centered Design によるデザインプロセスのことを指して話される場合もあります

もう少し具体的に書くと観察、プロトタイプ制作、ユーザーテストをするこ一連のフローをUXDと呼ぶこともあります

また、これに関連してアジャイル開発することをUXDプロセスと呼ぶ場合もあります。

UX定義(じゃないけど、言われがちなやつ):サービスデザインの話

UXDをサービスデザインのこととして話される場合があります。

サービスデザインとは、デザイン思考を使ってビジネスを具現化しようというものです。

ここでいうデザイン思考は上述にもありますが、HCDの思考法を中心にしたものです。

1. 利用者/対象者を正しく知る
2. 問題を定義する
3. 問題解決のためのデザインをプロトタイピングしながら行う
4. デザインが機能しているかを評価する

つまり、上記のプロセスでビジネスを作り上げることサービスデザインといいます。

まとめ

UX(UXD)にもいろんな定義があることがおわかりいただけましたでしょうか。

じゃあ、UXデザインってどうすればうまくいくの?という疑問は、どうやったら事業がうまくいくの?とほぼ同じ難易度の話かと思います。

UXの定義がなされていないことは問題だと思いますが、それよりも携わっているサービスやプロダクトをどうしたいか、利用者にどう使っててもらいたいかなどの意思や目的がない事のほうが問題です。

最後にTHE GUILD の深津さんが良いつぶやきをしていたので引用しておきます。

ユーザーに良い体験をしてもらうための打ち手や課題はいくつもあります。

その中でも優先すべき課題を見つけ、サービスを良くする意志をチームがもてるかどうか、そのためにお互いの共通理解を深めるための知識が大事なんだと思います。

ではでは。

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梅本 周作 / ajike

UXデザイン会社ajike/アジケのCEO。USEN MediaのCXOも兼任。 味気ある仕事をしたいと思っています/デザイン組織づくり/二地域居住/レゲエ好き/たまにがんばります😐https://ajike.co.jp/

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